「量子コンピュータ」って何?/素人の、素人による、素人のための説明

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こんにちは、松鷹守です。

2017年11月20日、NTTが国立情報学研究所などと共同開発した新原理の量子コンピュータについて発表しました。また同年12月22日には富士通が、将来的に量子コンピュータの開発に乗り出すことを明らかにしました。

この量子コンピュータ」という言葉、近ごろ耳にする機会が増えてきましたね。ずっと気にはしていたものの、その正体についてはさっぱり。

一体どんなものなのかそろそろ知りたくなったので、きわめてザックリですが調べてみました。

※とはいえ、科学にはとんと疎い私なので、記事の正確性については保証しかねます。〃シロウトが何とか理解しようと頑張ったらこうなった〃というひとつの例としてお読み下さい。

■量子コンピュータと従来型コンピュータとの差

量子コンピュータの凄さは、何といっても処理能力が〃驚異的に速い〃こと。

たとえば1万桁の整数を素因数分解する場合、従来型のスーパーコンピュータだと1000億年以上の時間がかかるといいます。これに対し、量子コンピュータは理論上、わずか数時間で計算できるそう。

2015年にはGoogleが「量子コンピュータが、従来型コンピュータより1億倍も速く処理できることを実証した」と公表しています。

1億倍って……数字が大きすぎてピンとこないほどのスピード。

そんな高速処理を、どうやって行うのでしょうか?

■「量子」と「量子論」

まず「量子」というものがあります。量子は物質を構成する非常に小さな単位のことで、「原子・電子・陽子・中性子」、光を粒子としてみたときの「光子」ニュートリノ・クオーク・ミューオン」などの素粒子がこれにあたります。

※原子は中心にある「原子核」と、原子核の周囲を取り巻く「電子」から成る。原子核はプラスの電気をもった「陽子」と、電気をもたない「中性子」が結合したもの。陽子と中性子は「クオーク」によってできている。

そして「量子論」は、「1000万分の1ミリメートル程度以下」のミクロの世界を扱う学問。電子や光などの量子がどのような作用・現象を起こすかを研究します。

ミクロサイズの物質は、マクロな世界に住む私たちの常識では考えられない、じつに奇妙な動きをするようです。

■量子の不可思議な点

量子は、次のような特徴があります。


①量子は、〃波の性質〃〃粒子の性質〃を両方もつ。

⇒これを【波と粒子の二面性】という。


②量子は、同時に複数の場所に存在できる。

これを【状態の共存・状態の重ね合わせ】という。


③同時に複数の場所に存在するが、そのうちの1つを「観測」したとたん「状態の共存」は崩れ、1つに確定してしまう。

これを【波の収縮】という。


④2つの量子を同時に発生させると、それらは双子のペアのような深い結びつきを持ち、相互に影響し合うことがわかっている。

たとえば1つの電子を2つに割って「電子A」「電子B」というペアを作る。電子などの粒子は「スピン」と呼ばれる2種類の自転のような動きをしており、AもBも、観測する前はそれぞれ「右まわりの回転」「左まわりの回転」という2つの状態が共存して(重ね合わさって)いる。

このAとBを遠ざけて太陽系の端と端、あるいは銀河系の端と端に置く。そしてAを観測し、それが「右まわり」であると確定したとたん、Bは観測してないのに「左まわり」であることが確定する(Aが「左まわり」ならBは「右回り」となる。AでなくBの方を観測した場合でも、Bが決まればAもその逆回転が瞬時に、いっさいの時間差なく確定する。A・Bをどれだけ遠ざけても同じ)。

⇒このように量子どうしが深く結びつくことを【量子もつれ・量子のからみ合い・エンタングルメント】という。


量子もつれの関係にある「量子A」と「量子B」を、遠く離れた場所(たとえば地球と月)に置く。次に地球上の「量子A」と、ある情報をもった「量子C」の間で量子もつれを起こし、その結果を観測し、観測結果を通常の通信手段で月に知らせる。月面上で、その観測結果にもとづいた処置を「量子B」にほどこすと、「量子C」が復元(再現)できる。

⇒これを【量子テレポーテーション】という。

※「量子C」は物理的に地球から月へ運ばれたわけではないが、完全な複製であり、あたかも瞬間移動したように見えるので、「テレポーテーション」という言葉で呼ばれる。

■量子コンピュータの処理速度が速い理由・その1 ⇒ 状態の共存(重ね合わせ)を利用する

従来型コンピュータは、あらゆる情報を「0」「1」のみを使った「二進法」で処理します。すなわち十進法の0は「00」、1は「01」、2は「10」、3は「11」、4は「100」、5は「101」、6は「110」、7は「111」……と表します。

いま「00」「01」「10」「11」(十進法の0~3)を使ってある計算をするとき、従来型はまず「00」を入力して計算したら、次に「01」を入力して計算、そのあと「10」を入力して計算……というように入力・計算が4回必要になります。

これに対し量子コンピュータは、量子の「状態の共存(重ね合わせ)」を利用するので、「00」「01」「10」「11」の4つのデータを〃まとめて一度に入力⇒まとめて一度に計算〃という「並列処理」が行えます。つまり、ほんのわずかな時間で計算できるのです。

こうした従来型コンピュータと量子コンピュータとの処理時間の差は、データの桁数が大きいほど顕著になります。二進法で3桁の数を入力する場合は「2の3乗=8通り」、10桁の場合は「2の10乗=1024通り」、30桁の場合は「2の30乗=10億7374万1824通り」の組み合わせを一度に計算できるからです。

■量子コンピュータの処理速度が速い理由・その2 ⇒ 量子もつれ(量子のからみ合い・エンタングルメント)を利用する

従来型コンピュータが扱う情報の最小単位を「ビット」といい、1ビット「0」または「1」のどちらかで表されます。

いっぽう量子コンピュータが扱う情報の最小単位は「量子ビット」といいます。たとえば量子のうち電子を使う場合、電子は「右まわりの回転」状態と「左まわりの回転」状態を同時にとることができる(共存する)ので、右まわりを「0」、左まわりを「1」とすると、電子1つで「0」「1」の2つの意味を表すことができます。これが1量子ビットです。

次に、何らかの操作をほどこして複数の電子を「量子もつれ(エンタングルメント)」の状態にします。量子もつれの関係にある量子どうしは相互に作用するので、前述の「量子テレポーテーション」技術を使えば、1つの電子に起こった変化が他の電子に瞬時に伝わります。

したがって、電子2個(=2量子ビット)を用いると、「2の2乗=4通り」の数が同時に入力できます。電子10個(=10量子ビット)なら、「2の10乗=1024通り」の数が同時に入力できます。

こうして、「状態の共存(重ね合わせ)」「量子もつれ(からみ合い)」という特性があるおかげで、膨大なデータの並列処理(同時処理)が可能になるんですね。

■量子コンピュータは速さ以外にも利点が。しかし問題点も。

量子コンピュータの消費電力は、従来型コンピューターよりかなり少ないんだそう。〃お利口さん〃な(超高速処理できる)うえに、電気代もおトク……となれば、いいこと尽くしな気がします。でもじつは、心配な面も。

現在インターネットで広く使われている公開鍵暗号のひとつに「RSA暗号」というのがあります。これは「桁数の大きい数を素因数分解するのは、膨大な時間がかかる」ことをもとに考案された暗号方式なのですが、〃膨大な時間がかかる〃のは従来型コンピュータを用いた場合であって、量子コンピュータなら短時間で解読できてしまいます。

「量子コンピュータの完全実用化」は、イコール「セキュリティに対する脅威の始まり」といえます。そう遠くない将来、その日を迎えたとき、現代社会のネットワーク・セキュリティ、情報セキュリティは大丈夫でしょうか?

その頃には多分、もっと強力な暗号システムなり対応策なりが普及していると思いますが、どうなんでしょう?

量子コンピュータが安全かつ平和に使用されることを、願うばかりです。


以上、松鷹守でした。

〈ゆるやかな惑星〉でまたお会いしましょう!

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