金(gold)がプールわずか3杯分って本当?【ココが気になる!】

Pocket

こんにちは、松鷹守です。

皆さんは金(gold)がお好きですか?

「お金(money)」じゃなくて、貴金属の方の「金」です。

と訊かれて「嫌い」と答える人はいないでしょう。

「金(gold)」といえば、以前どこかでこんなくだりを読んだことがあります。

世界中の「金」を集めて、50mプール杯分くらいしかない。

うーん、これってどうなんでしょうか。

コインとかアクセサリーとか、「金」なんて世の中にたくさんあるじゃないですか。「金箔(きんぱく)」「金糸(きんし)」「金粉(きんぷん)」なんかもあるし。

まあ、量が少ないから価値があるわけで、それほど多くないのはわかります。

にしても、全部で「プール3杯」とは……少なすぎませんかね

「東京ドーム20個」だとしても、全部入りきらないような気がします。

ずっと頭の隅に引っかかっていたので、今日はその「金」について探ってみました。

■この手で計算してみたら

過去、人類が採掘してきた「金」の総量は、2014年の時点で「約183,600トン」というデータがあります。

前述のプールは「オリンピックの競泳用プール」をいい、サイズは「長さ50m・幅25m・深さ2m」。容積は「50×25×2=2,500m³」です。

水1m³の重さは1トンなので、「水2,500m³=2,500トン」。

さて、「金」の比重は「19.32」。これは「体積(容積)が同じ場合、金は水の19.32倍の重さがある」という意味です。

ですから、オリンピック用プール1杯分の「金」の重さを求めると、「水2,500トン×19.32=金48,300トンとなります。

この数字で先ほどの総量を割れば、「プール何杯分か」が出ますね。

183,600トン÷48,300トン=3.8024…杯

おお、「約3.8杯」! 

プール3杯くらい」で合ってるじゃありませんか!

(そうなんだ。正しかったんだ。)

……ごめんなさい。疑った私が悪うございました。

(東京ドーム20個、発注しなくてよかったです。)

■残りはあとどれくらい?

いっぽう、まだ地中に埋まっている「(未採掘の)金」はといえば、「5万~5万数千トン」と考えられています。

「プール1杯強」といったところですね。

「金」は毎年、世界で約3,000トンずつ掘り出されるので、あと16~17年ほどで採掘がストップする計算です。

でも「金」は石油などと違って、地上から消えてなくなることはありません。石油は燃やしたら終わりですが、「金」は金貨・金塊だったり、ジュエリー・美術工芸品だったり、スマートフォンや携帯電話の電子基板だったり、リサイクルされ姿形を変えながら、世の中を巡りつづけます。

むしろ、供給量が増えすぎると値崩れを起こしますから、あとプール1杯くらいでちょうどいいんじゃないでしょうか。

なお「金」は、微量ながら海水にも含まれています。その総量、なんと50億トン

将来、海水から「金」を抽出する低コストの技術が実用化したら、その価値や社会的意味が大きく変わるかもしれません。

■「金」はのびるよどこまでも

「金」はとても軟らかい金属。

加工しやすく、薄く延ばして「金箔」にしたり、細く伸ばして「金糸」にしたりできます。1グラムあれば、金箔なら1メートル四方にまで延ばせるし、金糸なら3,000メートルくらいまで伸ばせるんだとか。

すごいな。ガムだってこうはいきませんよ。

つまり、たった1グラムがこれほどの大きさ・長さになるおかげで、私たちは身の周りのあちこちで「金」を目にすることができるわけですね。きわめて薄い(細い)ものではあるけれど、バラせば相当な数になりますから。

数が多いので、たくさんあるような印象を受ける。⇒でも全部あわせた量はそうでもない

〃総量はプール3杯ほど〃という言葉を私が最初信じられなかった理由は、そこにあるようです。

■いつまでも劣化しない

「金」は化学的に安定しています。

熱や湿気に強く、錆びたり腐食したりすることがほとんどありません。何百年、何千年たっても美しい輝きを保っていられるのは、このためです。

錆びや腐食に強いのに加えて電気伝導率も高い(電気をよく通す)ので、電子機器の基板やコネクタなどに用いられます。

電気伝導率でいえばの方が高いですが、劣化しない・薄く細くできて加工しやすい「金」は欠かせません。

ところで、近年「都市鉱山」という言葉をよく聞きます。

これは、廃棄されたパソコンや携帯電話などの部品に、金・銀・銅といった貴金属レアメタル(希少金属)が含まれているのを鉱山にたとえたものです。

使用済み小型家電から有用な金属を取り出し、リサイクルするんですね。

日本の「金」保有量(地上在庫)は760トン(2014年)ですが、都市鉱山における「金」の総量はおよそ6,800トン

これは世界の「金」埋蔵量の16%にあたります。

銀は60,000トンもあって、世界の22%。

ほかにインジウムスズタンタルアンチモンプラチナ(白金)などが、日本の都市鉱山に多く存在します。

■オリンピックのメダルの素顔

2020年の東京オリンピック、だんだん近づいてきました。

オリンピックといえばメダル。その形状や素材について、IOC国際オリンピック委員会)が定めた次のような規定があります。

◆直径は60mm以上、厚さは3mm以上。

◆1位および2位のメダルは銀製で、少なくとも純度1000分の925であること。

◆1位のメダルは少なくとも6グラムの純金で金張り(またはメッキ)が施されていること。

あらら。金メダルと銀メダル、ほとんど同じなんだ。違いは表面にわずか6グラムの「金」が張ってあるというだけ。

……正直、がっかりですわ。「金」はコストがかかるから100%はないとしても、3分の2とか、せめて半分くらいは本物だと思っていたんですがねえ。

「金」は軟らかい金属なので、強度を増すためでもあるようですが。

ちなみに、リオデジャネイロオリンピック(2016年)のメダルはどんなだったでしょう。


【金メダル】 直径8.5cm 重さ500g(金6g、銀494g)

【銀メダル】 直径8.5cm 重さ500g(銀100%)

【銅メダル】 直径8.5cm 重さ500g(銅95%、亜鉛5%)


金メダルの「金」含有率は1.2%だったんですね。

もしこれが純金製100%)だったとします。

銀の比重は「10.50」なので、上の数字からメダルの厚さを計算すると「約8mm」であることがわかります。

次に、金の比重「19.32」で重さを求めると「約870g」。

870gですよあなた。1リットル近い水の入ったボトルを首にぶら下げるようなもんです。

リオのメダルは、ロンドンオリンピック(2012年)の400gを上回って〃過去最重量〃でした。それを授与された体操の内村航平選手が思わず「重っ!」と言ったそうですが、870gもあったらどうなってしまうんだか。

一大会でメダルを何個も獲った日には、本気で首を心配しなきゃいけません


ところで東京オリンピックでは、〈都市鉱山からつくる! みんなのメダルプロジェクトを展開しています。

自治体や企業や国民に呼びかけ、〃使用済み電子機器から取り出したリサイクル金属〃のみでメダルを製作するというものです。

メダルは金・銀・銅1,666個ずつ、計5,000個を用意。

原材料として「金40kg、銀4,900kg、銅3000kg」が必要。

今年(2018年)6月の時点で、「銅」は順調に集まったものの、「金」と「銀」は目標の40~50%程度しか回収できていないんだとか。

でも、日本は世界屈指の都市鉱山国家

このプロジェクトはオリンピック史上初の取り組みということなので(過去、メダルの一部にリサイクル金属を使用したことはあったが、国全体で参加し、すべてをまかなうという試みは初めて)、オールジャパンの心意気でぜひ成功させてほしいものです。


以上、金(gold)についてのお話でした。

〈ゆるやかな惑星〉でまたお会いしましょう!

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする