相次ぐ「森林」の火災や焼失⇒地球の「酸素」は大丈夫!?

Pocket

こんにちは、松鷹守です。

今年(2020年)は何といっても、新型コロナウイルス「COVID-19」が頭を離れません。分厚い雲のように、まといつく霧のように、私たちの心に重くのしかかっています。

そのため、他の事件や災害に振り向ける意識が、いつもと比べていささか薄くなりがちだと思うのですが、皆さんいかがでしょう。

たとえば、近年ニュースになった海外の大規模な火災を覚えていますか?

■オーストラリア森林火災

2019年9月から2020年2月までつづき、甚大な被害をおよぼしたオーストラリアの森林火

オーストラリアの現代史上、最も広範囲におよび、かつ最も長引いたもので、類焼面積はおよそ「186,000平方キロメートル」といいます。

日本の国土面積が「377,900平方キロメートル」ですから……なんと、そのほぼ半分!

わずか数ヵ月で日本の半分が焼けたのと同じです。言葉を失いますね。

世界自然保護基金(WWF)は2020年7月、この火災によって死んだり、すみかを失った野生動物(哺乳類、爬虫類、鳥類など)は「約30億匹」に上ると発表しました。

オーストラリアの動物といえば、カンガルーコアラがすぐ頭に浮かびます。たとえばコアラの場合、ニューサウスウェールズ州だけでも8,400頭が被害を受けたといわれ、これは同州に生息するコアラの約30%にあたります。

2020年1月だったでしょうか、ニュース番組で映し出されたオーストラリアの地図を見て、私は「うわっ」と声を上げてしまいました。火災を表す無数の赤い印が、国土を縁取るように沿岸部をほぼグルリと1周していたうえ、内陸部にも印がたくさんあったからです。

炎と噴煙で大地も空もオレンジ色に染まった地獄のような写真・映像が、テレビやネットで報じられました。

1月20日からメルボルンで開催されたテニスの全豪オープンの予選中、火災による大気汚染で咳き込み、棄権に追い込まれた女子選手のことも話題になりましたね。

全豪オープンは、開閉式屋根のあるコートや室内コートがあるので、大会は無事行われましたが。

■アメリカ西海岸の山火事

アメリカ西海岸では2020年8月以降、頻発する落雷により、カリフォルニア州・オレゴン州・ワシントン州で深刻な森林火災が多発しました。

9月までに16,000~20,000平方キロメートル東京都の約6~9倍)が消失したとされ、10月以降も、どこかが燃えつづけているとの報道がありました。

アメリカでは、毎年夏から秋にかけてが山火事シーズンですが、今回の被害は特に甚大で、まさに「史上最悪」レベル。

カリフォルニア州でいうと、ひどい山火事のニュースが毎年のように飛び込んできませんか? ハリウッドスターの家が燃えてしまったとかいう話、ときどき耳にしますよね。

現に昨年(2019年)も大きな火災がありました。でも今年の火災は、類焼面積が昨年の20倍をゆうに超えています。

アメリカにしろ、さきほどのオーストラリアにしろ、火災がこれほど大規模化した原因として「記録的な気温の上昇、降水量の不足・乾燥、落雷の多発、強風」があげられます。

温暖化など「深刻化する地球の気候変動」が無関係とは、とても言えません。

■南アメリカの火災/アマゾン熱帯雨林など

アマゾン熱帯雨林の面積は約5,500,000平方キロメートル。世界の熱帯雨林の半分に相当します。9つの国にまたがり、うち60%はブラジルにあります。

2019年、アマゾンとその周辺で大規模な火災がありました。

ラジでは、9,100平方キロメートルの熱帯雨林が焼失しました。これは過去5年間で最悪の数字です。

ボリビアでは、64,000平方キロメートルの森林と草原が失われました。これは、過去10年間の平均を50%近く上回るものでした。

ブラジルの場合、2019年のアマゾンの火災発生件数が、前年比で80%以上も増えました。

この大幅な増加は、2019年1月に就任したボルソナロ大統領が経済優先の政策をとり、アマゾン開発の規制をゆるめたことと無縁ではありません。

農地や牧草地を取得するため、木を切り倒し、火を放って「野焼き」する人々が増えたことが、火災の増加につながっているからです。

ボリビアの場合も、当時のモラレス大統領が農地拡大のため、多くの森林開発を許可したことが、火災発生の一因であると指摘されています。

森林保護人類共通の使命であるのは当然のこと。しかし個々の国にとって、経済的に豊かになることは最重要の目的ですから、われわれ他国の人間が一方的に批判することはできません。

ブラジル、ボリビアのような広大な森林を抱える国と諸外国が、友好的に協力して緑を守りつつ、当事国の経済発展にも力を貸すことが必要でしょう。

■森林破壊と「酸素」の問題

世界の森林は、毎年約73,000平方キロメートルずつ減少しているそうです。

前述のような大規模な森林火災があると、私はつい考えてしまいます。

おいおい大丈夫か……地球上の「酸素」、どんどん減ってるんじゃないの? と。

だって酸素をせっせと作ってくれているのは植物ですし、酸素がなかったら人も動物もどうにもならないですから。

どんなにお金があろうが、どんな豪邸に住んでいようが、大統領だろうが、アラブの大富豪だろうが、巨大企業のオーナーだろうが、一人残らずアウトですもんね。(私はその手の人間ではありませんが。)

気になるので調べてみました。

結論を先に言うと、「森林がなくなっても、酸素がなくなることはない」でした。

■森林での酸素の出入りは「プラスマイナス・ゼロ」

アマゾンの熱帯雨林を例にとってみましょう。

ここは「地球の肺」と呼ばれ、「地球の酸素の20%を供給している」という声もありますが、どうも正しくないようです。

アマゾンはたしかに世界最大の熱帯雨林ですから、「」による酸素の放出量も膨大ではあります。しかし、植物は日光のあたらない夜間は「呼吸」しており、私たち人間や動物のように酸素を吸い・二酸化炭素を吐き出しているのです。

酸素を生み出すいっぽう、消費もするということですね。

また、成長途中の若い樹木は光合成をさかんに行い、たくさん酸素を作るけれど、成長しきった大人の木はもう光合成をしません。

朽ちて倒れた木は腐敗し、バクテリア菌類などによってされますが、その過程で大気中の酸素が使われます。

これらをトータルでみると、森によって増減する酸素の量は、ほぼ差し引きゼロになります。

言われてみれば、たしかにそうですね。植物は暗い場所では呼吸するんだってことを忘れてました。

■植物のすみかは陸地だけじゃない

忘れていたことがもう1つ。植物は水中にもいるんです。

海藻のような海・湖・沼にすむ藻類(そうるい)植物プランクトンもまた、光合成によって酸素をせっせと作ってくれます。

とくに海は地表の約70%を占めており、地球の酸素の半分以上が、海洋植物によって生み出されているといいます。

でも植物ですから、日差しのない夜はやはり呼吸を行い、逆に酸素を消費します。

アマゾン熱帯雨林(すなわち陸上の草木)と同様、酸素を「つくる」作用と「なくす」作用が両方あるので、やはりプラマイ・ゼロと言えそうですが、違いがひとつ。

陸上の樹木は朽ちて腐ると「分解」されるとさっき書きました。その過程で酸素が使われる(樹木内部の炭素と大気中の酸素が結びついて二酸化炭素となり、放出される)のですが、海藻や植物プランクトンは死んだあと、一部が海底に沈んで堆積物になります。

堆積した有機物は長いあいだ分解されません。つまり内部の炭素がそこにとどまるので、酸素は消費されず、二酸化炭素が発生することもないのです。

水中の植物に関しては、その分だけトータルの酸素供給量がプラスになるといえます。

■やっかいなのは二酸化炭素

さて、今日のテーマは「森林減少と酸素の問題」でした。

水中植物はちょっとおいておくとして、要点はこうです。

😊森林全体として酸素の供給・消費はほぼ均衡している。だから森林がどれだけ減ろうが増えようが、それ自体は、地球の酸素量に影響がない。

なるほど……とりあえず安心しました。ですが、

😟酸素の心配をするなら、森林の減少ではなく、二酸化炭素(CO²)の増加を気にするべき。なぜなら、「炭素(C)」と「酸素(O)」の化合物である二酸化炭素が増えるということは、すなわち単体の酸素(O²)が減ることを意味するから。

そうか、問題はそっちなんだ。

「地球温暖化」でおなじみの二酸化炭素」、たしかに増えています。

18世紀半ばに始まった「産業革命」以降、人類は石炭・石油・天然ガスといった「化石燃料」を大量に燃やし、エネルギーを得てきました。

自動車、船、飛行機、工場、暖房設備、火力発電所などの燃料として。

化石燃料は、燃えると二酸化炭素が発生します。その結果、産業革命以前(1750年頃まで)と比べて、地球上の二酸化炭素濃度は40増加しました。

えっ、そんなに!? 200~250年ほどで1.4倍

でもよく考えたら、地下や海底に長年眠っていた石炭・石油・天然ガス(つまり炭素)をほじくり出して燃焼させ、酸素とくっつけて二酸化炭素をガンガン放出するという営みを世界中でつづけてきたわけですから、当然といえば当然でしょうか。

■酸素と二酸化炭素

40%増は一瞬ギョッとする数字ですが、大気中に占める二酸化炭素の割合は約「0.04%」。

酸素は約「0.95」なので、圧倒的な量の差があります。

じつは毎年、酸素は「0.0004%」ずつ減少しています。その主な原因は、化石燃料の燃焼(つまり二酸化炭素の発生)であると考えられています。

ペースがこのままなら、1000年経っても「0.4%」減るだけ。まだ20%以上あるじゃないですか。

酸素濃度がゼロになるのは約5万年後。現実的な話、酸素がなくなる心配をする必要はありません。

おお、よかった! 息ができず、喉を掻きむしってバッタリ倒れる日が来るとしても、それは遠い遠い未来ということね。

ただ実際、私たち人間が「酸素ゼロ」の日を迎えることはないでしょう。なぜなら、酸素の減少につれて体に次のような影響が出始め、それまでとても生きていられないからです。

◆酸素濃度◆

18%】 人体に影響がない安全限界。これを下回るとさまざまな症状が出る。

【16~14%】 脈拍・呼吸数が増加。頭痛や吐き気。集中力が低下する。

【12%】 吐き気、めまい、筋力低下。

【10%】 顔面蒼白、意識不明、チアノーゼ、嘔吐。

【8%】 失神、昏倒。7~8分で死亡。

【6%】 瞬時に昏倒、けいれん、呼吸停止、心臓停止。死亡。

あわわ。こういう記述は目にするだけで身がすくみますね。

■地球温暖化/パリ協定/温室効果ガス実質ゼロ

1000年後も酸素濃度20%以上はキープしていますから、酸欠で苦しむことはありません。じゃあ二酸化炭素がこのまま増えつづけていいのかというと、とんでもない。

二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガスなどの「温室効果ガス」地球温暖化を引き起こします。

温室効果ガスのうち、二酸化炭素のしめる割合は76%」。断トツに多いです。地球温暖化を語るとき、二酸化炭素の排出量削減がキーになるのはそのためなんですね。

地球温暖化は気温の上昇、熱波、干ばつ、砂漠化、水不足、農業・漁業への影響、海面上昇、洪水、大型台風・豪雨など異常気象の頻発、生態系の破壊】等々をもたらします。

日本では、真夏の猛暑が年々ひどくなり、猛烈な台風や大雨による甚大な被害がたびたび出ていることから、私たちは「地球環境、今までと明らかに違うでしょ」と肌で感じています。

このままだと近い将来、地球は本当に取り返しのつかないことになるでしょう。人類の生存も危うくなります。

2015年、約200ヵ国の間で「パリ協定」が採択されました。2020年(つまり今年)以降の地球温暖化対策を定めたもので、「世界の平均気温上昇を、産業革命前と比べて2度より低く、できれば1.5度におさえる」としています。

現時点で、平均気温はすでに約1度上昇しています。1度上がっただけで、今の異常気象が起きているわけです。ここからさらに1.5度、2度へと上がったら地球がどうなるか……いやほんと、考えるのもじつに恐ろしい。

パリ協定で定めた、努力目標の「1.5度」。これをクリアするには、2050年までに「脱炭素化(=温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること)」しなければなりません。

「実質ゼロ」とは、人間が生み出す温室効果ガス(プラス分)と、森林や海洋が吸収するそれ(マイナス分)とを、差し引きゼロにすること。

「2050年に実質ゼロ」達成のために、私たちは今から、1日も早く、脱炭素化に向けた取り組みに着手する必要があります。

なぜなら、温室効果ガスをこのまま生みつづけると、早ければ2030年に平均気温が1.5度上昇してしまうからです。そこから対策を講じても、成果が出るまでには何十年もの時間が必要であり、その間に気温がさらに上がってしまうため、遅すぎるのです。

化石燃料に替わる「クリーンエネルギー」の利用は、技術的・コスト的にまだまだ課題があります。しかし、そんなことを愚痴ってる暇はありません。困難だろうがお金がかかろうが、やるしかないのです。

手遅れにならないうちに。

緑の地球が、美しい自然が、私たちの暮らしが、変わり果ててしまわぬうちに。


以上、松鷹守でした。

森林火災に始まり、酸素のことを考察していたら「地球温暖化」にたどり着きました。

温室効果ガス、二酸化炭素、クリーンエネルギー……とても重要なテーマなので、いつか改めて記事にしたいと思います。

では、〈ゆるやかな惑星〉でまたお会いしましょう!

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする